「細雪妄評」の感想
細雪妄評
ささめゆきぼうひょう
初出:「中央公論 第六十二年第十一号」中央公論社、1947(昭和22)年11月1日

永井荷風

分量:約5
書き出し:小説の巧拙を論ずるには篇中の人物がよく躍如としているか否《いな》かを見て、これを言えば概して間違いはない。人物の躍如としているものは必ず傑作である。人物が躍如としていれば、その作は読後長く読者の心に印象を留める力がある。作者はその人物を空想より得来ったか、或《あるい》はモデルによろしきを得たか否かは、深くこれを追究するに及ばない。谷崎君の長篇小説「細雪」は未完ではあるが、既に公刊せられた上中の二巻...
更新日: 2025/02/02
65c8aadc88adさんの感想

双喜 細雪は 昭和の 関西の ある家族の 歴史である。教養ある 関西人の 裏面には 今なお 平安時代の 情緒を 見て取れる とする。谷崎は 関東から 西日本に 越して 短い間に 鋭い 観察眼を もってして かかる情緒を すくい取るは 並々ならぬ 技量と 称える。私は 世界的に 見ても 旧古の 雰囲気を 今に 映す 作品は ほぼ 他に 類を みないのではないか と感じた。