永井荷風
双喜 細雪は 昭和の 関西の ある家族の 歴史である。教養ある 関西人の 裏面には 今なお 平安時代の 情緒を 見て取れる とする。谷崎は 関東から 西日本に 越して 短い間に 鋭い 観察眼を もってして かかる情緒を すくい取るは 並々ならぬ 技量と 称える。私は 世界的に 見ても 旧古の 雰囲気を 今に 映す 作品は ほぼ 他に 類を みないのではないか と感じた。