夢野久作
金糸銀糸の衣を 着けた 17歳の娘は お后となる。たまたま 蚕の蛾が 柱に 生み付けた卵に 隣家の桑畑の 桑の葉を 盗んで 育て上げた繭なので 盗人として追われ 井戸に落ちた母親が 王様に 引っ張り揚げられたのが 縁だった。日本はその頃は 養蚕立国として栄え 港まで 絹布を運ぶ道が いまだに 遺っているという。八王子から 横濱への 日本の シルクロードと呼ばれた 絹街道である。