「金銀の衣裳」の感想
金銀の衣裳
きんぎんのいしょう
初出:「九州日報」1919(大正8)年6月30日

夢野久作

分量:約7
書き出し:昔或る処に貧乏な母娘《おやこ》がありました、お父様は早くになくなつて今はお母様と娘のお玉と二人|切《きり》でしたが何《なに》しろ貧乏なので其日其日《そのひそのひ》の喰べるものもありません、只《ただ》お母様が毎日毎日|他所《よそ》へ行つて着物の洗《すす》ぎ洗濯や針仕事をしていくらかの賃金を貰つて来てやつと細《ほそ》い煙を立てゝ居《を》りました。処が此《この》お玉と云ふ娘は生れ付きまことに縹緻《きりや...
更新日: 2024/05/06
19双之川喜41さんの感想

 金糸銀糸の衣を 着けた 17歳の娘は お后となる。たまたま 蚕の蛾が 柱に 生み付けた卵に 隣家の桑畑の 桑の葉を 盗んで 育て上げた繭なので 盗人として追われ 井戸に落ちた母親が 王様に 引っ張り揚げられたのが 縁だった。日本はその頃は 養蚕立国として栄え 港まで 絹布を運ぶ道が いまだに 遺っているという。八王子から 横濱への 日本の シルクロードと呼ばれた 絹街道である。