13 灌頂の巻
13 かんじょうのまき初出:「世界名作全集 39 平家物語」平凡社、1960(昭和35)年2月12日作者不詳
清盛の娘である 建礼門院(けんれいもんいん)は 黒髪を 切り 仏門に 入った。大地震で 住まいが 大きく 壊れた こともあり 大原の 寂光院に 転居した。その辺りは 鹿が 渡って行くような 侘しい 庵で 念仏三昧(ねんぶつざんまい)に 明け暮れて ときの流れを やり過ごし 寂しく 世を去った。栄華を 極めた 生涯だった だけに 読み手は 余計に 無情を 感じる のである。