「ベルとドラゴン」の感想
ベルとドラゴン
ベルとドラゴン

――経典外聖書――

――けいてんがいせいしょ――

作者不詳

分量:約7
書き出し:バビロン人たちは、ベルと名付けた偶像を持つていて、毎日それに大升十二杯の上等の粉と、四十頭の羊と、六杯のブドウ酒を捧げた。そして王はそれを信仰して、毎日礼拝に行つた……だがダニエルは自分の神を信仰していた。そして王がダニエルに言つた——「なぜおまえはベルをうやまわないのか?」その人は答えて言つた——「それはわたくしが人の手で作つた偶像をうやまわないで、天と地を作り、生きとし生ける者を支配したまう生...
更新日: 2022/03/20
3afe7923d6ecさんの感想

この「ベルとドラゴン」は、経典外聖書とあるとおり、旧約聖書「ダニエル書」第6章成立のずっと以前にナンチャラ語で書かれた原話といわれている偶像崇拝を否定したエピソードだ。 しかし、わが偏見だが、聖書は文語体で読むに限る、それでこそ有り難みも増すというもの。 口語体で書かれたものなど、俗っぽくて、とてもじゃないが、いただけない。 日本人は古来、経典などというものは、何を言っているのか分からないくらいがちょうどいいと思っている民族だ。 それでこそ、やたら有り難たがる伝統があるのであり、分かりすぎるのは信仰上かえってまずいくらいだ。 分かるよね? そこで、第6章の文語体バージョンをご披露しょう、 あえて、知らしめるのだから、そこはほら、大いに有り難がってもらわなねば困るというもの。いいね。 ダニエル書  第6章 ダリヨスはその國に百二十人の総督を立てることを善しとし即ちこれを立て全國を治理しめ また彼らの上に総監三人を立てたりダニエルはその一人なりき是その総督をして此の三人の前にその職を述べしめて王に損失の及ぶことなからしめんためなりき ダニエルは心の殊勝たる者にしてその他の総監および総督たちに勝りたれば王かれを立て全国を治めしめんとせり 是において総監および総督ら国事につきてダニエルを訟ふる隙を得んとしたりしが何の隙も何の咎をも見いだすこと得ざりき其は彼は忠義なる者にてその身に何の咎もなく何の過失もなかりければなり 是においてその人々言いけるはこのダニエルはその神の例典について之が隙を獲にあらざればついにこれを訟るに由なしと すなはちその総監と総督ら王の許に集まりきたりてかの王に言うダリヨス王よ願わくば長寿たれ 國の総監、長官および総督、参議および知事らは、みな相諮りて王に一の律法を立て一の禁令を定め賜わらんことを求めんとす王よその事は是の如し即ち今より三十日の内は只汝にのみ願い事を為さしめ若し汝をおきて神または人にこれをなす者あらば凡て獅子の穴に投げ入れんといふ是なり 然らば王よ願わくばその禁令を立てその詔書を認めメデアとペルシアの廃ることなき律法のごときに之をして変わらざらしめたまへと 王すなはち詔書をしたためてその禁令を出せり ダニエルはその詔書を認めたることを知りて家にかえりけるがその二階の窓のエルサレムに向かいて開ける所にては一日に三度ずつ膝をかがめて祷りその神に向かいて感謝せり是その時の前よりしてかねてなし居たればなり 斯りしかばその人々駆け寄りてダニエルがその神に向かいて祷りかつ求めをるを見あらわせり 而して彼ら進みきたり王の禁令の事につきて王に奏上して言いけるは王よ汝は禁令をしたため出し今より三十日の内には只汝にのみ願い事をなさしめ若し汝をおきて神または人にこれをなす者あらば凡てその者を獅子の穴に投げ入れんと定めたまへるならずやと王こたへて言う其事は真実にしてメデアとペルシアの律法のごとく廃すべからざるものなり 彼らまた対へて王の前に言いけるは王よユダの捕囚人なるダニエルは汝をも汝の認め出し給ひし禁令をも顧みずして一日に三度ずつ祈祷をなすなりと 王この事を聞いてこれがために大いに憂いダニエルを救わんと心を用い即ちこらを助けんと力を尽くして日の入る頃におよびければ その人々また王の許に集いきたりて王に言いけるは王よ知りたまえメデアとペルシアの律法によれば王の立たる禁令または法度は変えるべからざる者なりと 是において王命を下しければダニエルを曳きたりて獅子の穴に投げ入れたり王ダニエルに語りて言ふ願わくば汝が恒に事ふる神汝を救はんことをと 時に石を持ちきたりてその穴の口を塞ぎければ王おのれの印と大臣等の印をもてこれに封印をなせり是ダニエルの処置をして変わることなからしめんためなり 斯くして王はその宮にかへりけるがその夜は食をなさずまた嬪等を召せよとせずして全く寝ることをせざりき 而して王は朝まだきに起きいでてその獅子の穴に急ぎいたりしが 穴にいたりける時哀しげなる声をあげてダニエルを呼ばわりすなはち王ダニエルに言いけるは活神の僕ダニエルよ汝が恒に事ふる神汝を救ふて獅子の害を免れしむることを得しや ダニエル王にいひけるは願わくは王長寿たれ 吾が神その使いをおくりて獅子の口を閉ざさせたまひたれば獅子は我を害せざりき其は我の罪なきことかれの前に明らかなればなり王よ我は汝にも悪しき事をなさざりしなりと 是において王おほいに喜びダニエルを穴の中より出せと命じければダニエルは穴の中より出されけるがその身に何の害をも受けをらざりき是は彼おのれの神を頼みたるによりてなり かくて王また命を下しかのダニエルを讒奏せし者等を曳きたらせて之をその妻子とともに獅子の穴に投げ入れしめたるにその穴の底につかざる内に獅子はやくも彼らをつかみてその骨までもことごとく噛み砕けり 是においてはダリヨス王全世界に住る諸民諸族諸音に詔書を頒てり云く願くは大なる平安なんぢらにあり 今我詔命を出す我が国の各州の人みなダニエルの神を畏れ敬うべし是は活神にして永遠に立つ者またその國は亡びずその権は終局まで続くなり 是は救いをほどこし助けをなし天おいても地においても休徴をほどこし奇蹟をおこなふ者にてすなはちダニエルを救いて獅子の力を免れしめたりと このダニエルはダリヨスの世とペルシャ人クロスの世においてその身栄えたり。

更新日: 2022/03/20
阿波のケンさん36さんの感想

西洋の説話。