「相撲と力学」の感想
相撲と力学
すもうとりきがく
初出:「東京朝日新聞」1908(明治41)年5月28日

寺田寅彦

分量:約2
書き出し:力学というのは物体に作用する力の釣り合いや力の作用によって起る物体の運動を数学的に論ずる六かしい学問である。天地万有が活きて動いて変化している間はこの力学の応用はあらゆる学術技芸に一日も欠く事は出来ぬ。相撲は人間の体力の活技で、一方から見れば霊妙な複雑な器械の戦いである、いずれにしても運用する力はいわゆる器械力で、力の作用する目的物は質量を有する物体だから、やはり相撲も力学の広い縄張の中へ入れても...
更新日: 2022/05/12
cdd6f53e9284さんの感想

こういう随筆を読むと、寺田寅彦という人の着眼のユニークさには、つくづく感心させられる。 こういう人が現代に生きていたら、ネットに食われてスポンサー離れを起こし、いまや消滅までささやかれているテレビ局の危機も少しは先送りできたかもしれない。 しかも、こういう逼迫した時代に、いまだに上田哲の朝鮮風黒影響を引きずり、つまらない偏向番組を量産して勝手に垂れ流しているくせに、国家権力をウシロダテにして(これもおかしな話だ)過剰な視聴料をとっているNHKも疑問だし、それを守ろうとする愚かな行政と司法の追随姿勢も理解できない、 こんな愚行を続けている日本という国を世界(とはいっても、まともな国だけだけれどもね)は苦笑し、冷笑し、嘲笑しているぞ。取りすぎだ、ばか野郎 あっ、寺田先生の偉大さを書こうと思っていたのにつまらない愚痴になってしまった。 もとい!! 軌道修正である。 そうそう、相撲を力学に結び付けて考察のネタにしてしまうなんてホント凄いな、と思ったところからこれを書き始めたのだが、変なド壺に嵌まって横道に外れてしまった。 いかん、いかん。 ちょっとはしょるが、寺田先生の弟子の中谷宇吉郎の随筆に「寒月の『首縊りの力学』うんぬん」とかいうのがあって、「吾輩は猫である」の中に出てくる「寒月の首縊りの力学」のくだりは寺田寅彦の助言から書かれたという経緯が「夏目漱石先生の追憶」にある。 ❮自分が学校で古いフィロソフィカル·マガジンを見ていたら、レヴェレンド·ハウトンという人の「首吊りの力学」を論じた珍しい論文が見つかったので、先生に報告したら、それは面白いから見せろというので、学校から借りてきて用立てた。 それが「猫」の寒月君の講演になって現れている。 高等学校時代に数学の得意であった先生は、こういうものを読んでもちゃんと理解するだけの素養をもっていたのである。 文学者には異例であろうと思う。❯ 師の徳を慕って学生たちが寄り集まり、そして師も若き学生たちの叡知を敬愛しながら、毎週木曜日につどい共に研鑽に励むというのが「漱石山脈」の実態だったろうと、憧憬の思いをもってカク認識している。 漱石山脈に憧憬の思いを持って仰ぎ見る者にとっては、この「相撲と力学」は「首縊りの力学」とセットで考えないわけにはいかない。