昭和27年当時で、また日本が戦争に巻き込まれるという不安が、実は、坂口安吾のなかにもあったからと言えるのだろう。ソ連も核実験を行い、中国が共産化し、朝鮮戦争が泥沼化している狭間の日本には、アメリカ占領のもと立ち直りつつあるとは言え、第二次大戦のダメージはまだまだ残っていた。米ソ冷戦に前面で対峙せざるを得ない政治家や学者たちに、市井の茶の間は楽観しつつも、もう戦争はゴリゴリだって想いが、共通意識であったのだろうな。
第三次世界大戦、そんなものはあってはならないけど、今の世界の現状を見てるとその可能性は低くないと思う。