「「精神病者私宅監置ノ実況及ビ其統計的観察」自序」の感想
「精神病者私宅監置ノ実況及ビ其統計的観察」自序
「せいしんびょうしゃしたくかんちノじっきょうおよビそのとうけいてきかんさつ」じじょ
初出:「東京醫事新誌 第2087号」東京医事新誌局、1918(大正7)年

呉秀三

分量:約4
書き出し:精神病者ハ自カラ知ラズ自カラ救フ能ハザル疾患ニ罹リ、其境遇ニ於テ最愍ムベキモノタルノ一方ニ於テ、社會ノ秩序ヲ危クシ公衆ノ安寧ヲ破ラントスル危險ナル證状ヲ呈スルモノナレバ、一面之ヲ救濟シ一面之ヲ保護スルハ、吾人ノ責任ニシテ又吾人ノ義務ナリ。而カモ斯ノ病タル決シテ不治ノモノニアラズ。之ヲ恰好ノ時機ニ於テ入院セシメ、適當ノ治療ヲ加フルナラバ、其治癒スベキモノヽ尠カラザルコトハ、他種疾患ニ比シテ何等逕庭ナ...
更新日: 2024/01/16
アトガキさんさんの感想

かつての精神障がい者(本書内では精神病者)に対する考えを理解することのできる貴重な文献です。 著者の呉秀三氏は精神病者を私宅で監禁すること(いわゆる座敷牢です)を強制する精神病者監護法を廃し、新しい法律(精神病院法)を作り、病者を病院で看るという形を目指そうとした人物です。 本文内の代表的な特徴として、最新の医療とと統計学に基づいた内容が挙げられます。西洋での施設(大舎性の大規模コロニー)を紹介や統計的な数値などのエビデンスに基づいた論文は当時の人々の精神病に対する考えを大きく変化させたのではないかと思いました。 現代になり精神障害に対しての理解やケアの礎となった本作を一読すると面白いと思います。現代語訳版や映画も販売されていますので、気になる方はそちらもお確かめください。 素人が色々書いてすみませんm(_ _)m