「実験室」の感想
実験室
じっけんしつ
初出:「中央公論 第三十二年第十號秋期大附録號」1917(大正6)年9月1日

有島武郎

分量:約41
書き出し:兄と彼れとは又同じ事を繰返して云ひ合つてゐるのに氣がついて、二人とも申合せたやうに押默つてしまつた。兄は額際の汗を不愉快さうに拭つて、せはしく扇をつかつた。彼れは顯微鏡のカバーの上に薄《うつす》らたまつた埃《ほこり》を隻眼《かため》で見やりながら、實驗室に出入しなかつたこの十日間程の出來事を、涙ぐましく思ひかへしてゐた。簡單に云ふと前の日の朝に彼れの妻は多量の咯血をして死んでしまつたのだ。妻は彼れ...
更新日: 2024/07/12
6d81c4bb1dadさんの感想

主人公の感情の落差がすごく細かく描写されている。 看護婦2人を見て驚かせないようにと踏み潰したタバコがあったのに、終盤では手術の紙を庭に捨てて行く所などが良いと思った。 學術の喜びを感じれば感じるほど、主人公は後悔するのだろう。 気になるなら読むべき。

更新日: 2024/05/05
19双之川喜41さんの感想

 ある時期 解剖の 情景を 執拗に 描写した 文学作品が 流行った ことが在った。本作品が それらの 影響を 受けて 執筆されたものかは 分からないけど 臆病な 小心者としては 読み進めるにつれて 頭が くらくらして 読み抜けるのには 気付け薬が いるなと 感じたりした。そも 御遺体は 当たり前のことながら 生と死の 狭間に 厳然と 存在するものであり 心を込めて 直視すべきではあるけど 自分には 冷厳な 科学的な 観察力に 欠けていると 想った。 

更新日: 2023/12/31
6cfad47ba947さんの感想

今まで何体も解剖してきて、やはり身内の解剖は別ものなんだと思った。

更新日: 2023/10/21
0d0420d16fb0さんの感想

科学と生活、の二つの言葉で表わされたことの内容は、78歳になろうとしている私ですが、よく解りません。 科学自体は悪ではないと思いますし、生活に統合され得るものだと思います。

更新日: 2023/03/28
f72dd25a6741さんの感想

でもやっぱりそうなるんじゃんって感じ。

更新日: 2023/03/07
阿波のケンさんさんの感想

好き嫌いはあると思うが衝撃的な作品だ。若い嫁が自分の喀血した血を何度も飲み込んだ生きることえの執念に感動した。