夜ということもあって、何気ない一言が大きくなって怖いものに変わる。 そんなお話しだと思いました。
楽しみました。
下駄屋のおばさんはやさしさから、子供たちの不安を消すために人芝居うってくれたが子供たちはそれがただのなぐさめだと見破った。 それに対し文六の母は子供の不安に真摯に向き合った結果、文六は泣いてしまい、自分も泣くほど入り込んでしまったのだと思う。 最終的に文六の狐に憑かれるという不安は 、新たな不安を呼んだとはいえ、解消されたのではないか。
短い話ながらも、当時の農村の子どもの暮らし、子どもの心が丁寧に描かれている。幼い子どもの感じる不安な気持ちと母の愛情がどんな時代でも涙を誘う良作。
夜に下駄をおろすと 狐になると言われた文六は 母親に 狐になったらどうするか たずねる。 母親は 自分も下駄をおろして狐になると答える。 猟師の犬が迫ってきたらどうするかときく。 びっこをひいて犬に喰われるから その間に 文六は逃げろと言う。 寝物語なのに 母親と一人子は 涙を流す。 祭りの様子の描写 子供達の心理描写が 見事だと感じた。
新美童話の中でも最も好きな作品です。母親が子どもを慈しむ思いや、幼子が母を求める気持ちが切なく伝わってきて、読むたびにじんわりきます。 でも、あのお母さん、 文六ちゃんが泣くのをわかっていながら、なぜわざと「母ちゃんはびっこをひきひきゆっくり…」なんて言うんでしょうね。きっと、可愛い息子が 無条件に自分を求めてくる うれしい瞬間を、味わいたかったのでしょうね。
心がじんわりほつこりしました。