牛をつないだ椿の木
うしをつないだつばきのき
初出:「少國民文化」1943(昭和18)年6月分量:約35分
書き出し:一山《やま》の中《なか》の道《みち》のかたわらに、椿《つばき》の若木《わかぎ》がありました。牛曳《うしひ》きの利助《りすけ》さんは、それに牛《うし》をつなぎました。人力曳《じんりきひ》きの海蔵《かいぞう》さんも、椿《つばき》の根本《ねもと》へ人力車《じんりきしゃ》をおきました。人力車《じんりきしゃ》は牛《うし》ではないから、つないでおかなくってもよかったのです。そこで、利助《りすけ》さんと海蔵《か...