読み次がれる古典ですが、筆致に臨場感はなく淡々と事実が語られてゆくだけで、これと言ったものは無いのですが、読ませるというか、あっという間に読了しました。忠義が絶対的価値だった時代の事件を現代の視点では 推量れませんが、侍とは辛いものですね。命の安きこと褥の如し、主君が要らなくなったら、ハイそれまでよですからね。
忠義物と言うのであろうか、ただもう、阿部一族への仕打ちがあわれであった。釈然としない。
許されない殉死から始まった阿部一族の滅亡。また許しを得て殉死した家臣も後を追って当然という家中の空気の中で己や家の面目のために命を捨てなけれならなかった。 殉死いや武家社会の馬鹿馬鹿しさを訴えかけているのである。特に一重臣の浅知恵から来る思いつきによる家督相続の扱いから、長子の反発を招き、やがてそれが一族殲滅の沙汰につながるというこの顛末に恐ろしさを感じるばかりだ。