「二人の友」の感想
二人の友
ふたりのとも
初出:「アルス」1915(大正4)年6月

森鴎外

分量:約31
書き出し:私は豊前《ぶぜん》の小倉《こくら》に足掛四年いた。その初《はじめ》の年の十月であった。六月の霖雨《りんう》の最中に来て借りた鍛冶町《かじまち》の家で、私は寂しく夏を越したが、まだその夏のなごりがどこやらに残っていて、暖い日が続いた。毎日通う役所から四時過ぎに帰って、十畳ばかりの間《ま》にすわっていると、家主《いえぬし》の飼う蜜蜂が折々軒のあたりを飛んで行く。二台の人力車がらくに行き違うだけの道を隔...
更新日: 2023/05/17
中央原理さんの感想

 鴎外自身のちょっとした友人関係の話であるが、登場人物の心理にもあまり踏み込んではいないし、何か出来事があるわけでもないので、物語としては面白くも何ともない。  個人的な日記程度のもので、読者としては当時の日本の雰囲気の香りを楽しむか、あるいは鴎外自身に興味があれば楽しめるだろうと思う。

更新日: 2019/10/24
19双之川喜41さんの感想

 独語を さらに深く 勉強するために  東京から  小倉に 鴎外を 追いかけてきた 友と 哲学的な交流するために  小倉から  任務を終えて帰京する 鴎外を  追いかけて来た住職が 二人の友ということになる。 立派な職を終えてからも  鴎外の 分身と思われる主人公は 友と共に自己を鍛え上げる。 凡人には 真似のできることではないと  驚嘆した。

更新日: 2016/01/19
3e9c4b240bacさんの感想

森鴎外が小倉住まいだったころに知り合った、二人の友達のはなし。一人はF君という、まだ二十歳そこそこの青年。鴎外に師事するために着の身着のまま東京から追っかけてきたらしい。 もう一人は安徳寺さんという、哲学を勉強してる純粋な住職さん。鴎外が東京に帰るとき、追っかけてきた人。 まったくタイプの異なる二人の友人との付き合いを、時間を経てビミョーに変わる関係性のなかで描き出している。