心中した二人を主体にしないで幽霊話の付け足しになっている。作者はこの手の話は得意ではなさそうだ。
川桝という料理屋の女中さんから聞いた話を森鴎外が小説に書いてみたもの。 田舎から出奔してきた家出娘。愛想よく謙虚でよく気が利いて働き者。料理屋のおかみさんもことのほかこの娘を可愛がってた。実家の縁談を足蹴にして家出してきたのは、東京に好いた男がいるからだった。 この男ときどき店にやってきては娘さんと何やら話し込んでいる。 ある雪の夜、女中が二人厠に立つと、ひゅうひゅう、おとが聞こえてくる。最初は風のおとかと思ったがどうやら違うらしい。音の聞こえてくる部屋の障子をあけると、そこには…! という話。 なんだか怪談聞いてるようで面白かった。