森鴎外の 夜の生活が記されている。良く知られているように 昼間は 公務員で 夜は 作家であった。午後四時になると 卓の上の 取り扱い中の 書類を 非常持ち出し簞笥に 入れて鍵を掛け 腰に刀を佩びる。帰宅後 深夜十二時に 起き出して 数時間 執筆したと言う。密な会食にも 数多く 出かけることが 有ったらしい。超人的に二足の草鞋を履き別けていたのだと 感じた。
知人に呼び出されて築地の料亭?か何かに行く話。 宴会が多すぎて困るとか、「自分、人気者です」アピールしてきた(笑)小説だけ読むと、厳格で堅物なイメージなんだけど意外と接しやすいフレンドリーな人なのかもね。鴎外翁。 本編はほんとに、とりとめのない日常の一区画を切り取った話なんだけど、森鴎外が目に見るもの、体験したことなど、から その芸術性や美的要素、歴史的普遍的文化風習の美しさを鋭く切り取って、咀嚼しているのがおもしろい。 小説家を長くやってると、「観察眼」を磨きすぎてなんでも芸術的に感じてしまうようになるのかも。 料亭のお婆さんの、豆打ち「福は内、鬼は外」から、ギリシャの文化で黒豆を投げる祭りを連想するところなんかは「鴎外先生なんでそんなこと知ってんすか」とまったく恐れ入った。