花売りの少女が、実は現国王に襲われた母の面影を残す娘であって、そして長く離れた養母の元で息絶える。さらに付き添うのは彼女の信頼を受ける真面目な日本人の画学生。まるで少女漫画を…いや日本の芸能にもこんな話があったような。 西洋人が日本の話に溶け込んで、そして「舞姫」に昇華していったのかもしれない。単なる憧れに留まらず、同じ感性を持つ人間同士と出来た事が、鴎外作品の完成度の高さになったのだろうな。
このような文体が 内容に合っているという 判断なのだろう。 何とも 読みにくく 手こずった。 筋立ても 詩情もあり もし 平易に仕上げられていれば さらに 読み手が 増えたかもしれないと感じた。
画学生の巨勢(こせ)が、絵画学校で絵のモデルをしているマリイとカフェで出会う。マリイは、昔巨勢が助けたことのあるスミレ売りの少女だった。再会を果たしマリイは自分の身の上を語る。没落した貴族のなれの果て…。体を売られそうになるのを逃げて漁師の夫婦に保護され、それから絵画学校で勤めるようになった。 湖上の船の上で二人が語らっていると、そこに現国王が現れてマリイの姿を一目見て取り乱し…。 という内容。 なんだか少し強引なストーリーだなぁと思ったが、異国の美しい景色、湖畔とか湖の色合い、時間とともにうつりゆく美しい風景の描写、また、思索的な記述やたまに入る細かい心理描写は、近代文学の先駆けとして高く評価できると感じた。