「枯野抄」の感想
枯野抄
かれのしょう
初出:「新小説」1918(大正7)年10月

芥川竜之介

分量:約22
書き出し:丈艸《ぢやうさう》、去来《きよらい》を召し、昨夜目のあはざるまま、ふと案じ入りて、呑舟《どんしう》に書かせたり、おのおの咏じたまへ旅に病むで夢は枯野をかけめぐる——花屋日記——元禄七年十月十二日の午後である。一しきり赤々と朝焼けた空は、又昨日のやうに時雨《しぐ》れるかと、大阪|商人《あきんど》の寝起の眼を、遠い瓦屋根の向うに誘つたが、幸《さいはひ》葉をふるつた柳の梢《こずゑ》を、煙らせる程の雨もな...
更新日: 2021/01/10
19双之川喜41さんの感想

 緩やかな絶命の実況放送とでも 言うべきか。 冒頭の句の対極にある臨終の床に 誰もが避けられない死をむかえる。 難解な表現が 散見されるのには 手こずる。

更新日: 2020/11/13
8dacb25fcfc5さんの感想

芭蕉の死に際して弟子たちのそれぞれに想う考え。そしてそれはむしろ芭蕉への愛ではなくて、芭蕉を通して感じる自身の死であったりする

更新日: 2017/05/23
drop12345678さんの感想

死の孤独さと、人間の利己心と自尊心。 ただそれらは至って当たり前のものである。 だからこそ、登場人物たちの表立って認めたくないような心情も、ぼんやりとした明るさの中で描写されている。

更新日: 2016/05/15
feb7c6b3ab94さんの感想

流石の、ピタリと嵌まった描写は勿論の事、其の緩慢な作の装いは、ダヴィンチの『最後の晩餐』にも似た、感慨を起こさせた。

更新日: 2015/09/25
4bca5552d409さんの感想

末期の迫った芭蕉の枕もとで弟子達各々の心理のあやを芥川独特の諧謔で描写した作品ではあるが、芭蕉とその周辺に興味のない人には少々退屈かな?