漱石ってこんなにフランクだったっけ?明治かくあり。
漱石自身の家族が、とうじょうしている、彼の人となりを 読み解く貴重な作品と言える
漱石は 家猫の死んだあとは 犬を飼っていたようで そのワンコが 友達ワンコを 庭に連れ込み 穴を掘ったり 転げ廻ったりして 飼い主を困らす描写は 微笑ましい。 作者にたいする 理解が深まるので 読み始めとして お手頃と思われる。
まるで夏目漱石の徒然草のよう。 この気持ち、なんか分かる〜と共感できたり。漱石を身近に感じられた。 何気ない日常事から始まり、段々と過去に遡り、最後は幼少期を振り返る。 漱石の人間味溢れる一面が見え、すらすら読める本。
毎晩、寝る前に一章づつ読んでみた。毎夜の楽しみになっていた。気がついたら最後のページとなっていた。寂しい気分…
小説も良いが、心情や時代風俗が書かれたエッセイもいい。文豪の繊細な人柄が良く垣間見られる。 最後の章で自信の露悪を躊躇しているような記述があるが、ふと「我輩は猫である」の一節を思い出した。 ウィキペディアによると漱石は癇癪持ちで、よく妻に手をあげていたらしい。今で言うDV。胃痛と繊細がゆえのノイローゼ(死語?)に苦しんでいたという。おおらかで裏表の無い妻に惹かれたそうであるが、物事は一長一短。彼女の無神経さが文豪の神経に障る事も多かったのであろう。 「我輩は猫である」の中に、妻に強くせがまれて芝居を見に行く約束をしてしまったが、気乗りせずあれやこれやと難癖をつけた挙げ句に胃痛を催し医者を呼びつけてすったもんだする。結局妻が楽しみにしていた芝居に連れていってやれずに妻に呆れられる。 その事件について猫の目を通して自分自身を侮蔑している節がある。 恐らくこれが実際にあったかどうかは分からないが、妻に対する態度(外面)と、猫の目を通した懺悔(内面)は実際に漱石が感じていたことに違いないと思われる。 物事を観察する鋭い眼は、当然自分自身にも向けられていたであろう。五十歳そこそこで亡くなられた文豪。もう少し長く生きていて欲しかった。
面白かった