「私の個人主義」の感想
私の個人主義
わたしのこじんしゅぎ

夏目漱石

分量:約65
書き出し:——大正三年十一月二十五日学習院輔仁会において述——私は今日初めてこの学習院というものの中に這入《はい》りました。もっとも以前から学習院は多分この見当だろうぐらいに考えていたには相違《そうい》ありませんが、はっきりとは存じませんでした。中へ這入ったのは無論今日が初めてでございます。さきほど岡田さんが紹介《しょうかい》かたがたちょっとお話になった通りこの春何か講演をというご注文でありましたが、その当...
更新日: 2024/01/06
c4c7670b8261さんの感想

“この世に生まれた以上何かしなければならん、といっても何をして好いか少しも見当が つかない” 夏目漱石は大学を卒業し、教師として日々を過ごす中で“腹の中は常に空席”であった。 どんな書物も読んでも依然として“自分の本領を見つけれらず、何のために書物を読むのか 自分でもその意味が解らなくなる。 そこでロンドンへ留学中の夏目は下宿の一間で“文学とはどんなものであるか、その概念を 根本的に自力で作り上げるほかに、私を救う途はないのだと悟った” 西洋時の価値観に迎合し“人の尻馬にばかり乗って空騒ぎ”するのではなく、“文芸に対する自己の立脚地を”新しく建築することを生涯の事業としようと考えた。 夏目は聴衆へ他人がいかに下らないと考えても“自分で自分が道をつけ”何かにうち当たる まで行くことの重要性を説く。

更新日: 2023/07/18
2a2cb453dea3さんの感想

一言一言が身に染みてためになった。もっと早くこの本に出会っていれば。しかし、人間って文明がどれだけ発展しても精神的な所は何一つ進化してないんだなと。これから何百年経っても変わらず支持され続ける考え方なのだろうと思う。

更新日: 2020/11/07
19双之川喜41さんの感想

 その頃 はやりの ベルグソンの 尻馬にのるということ だけでなく自らの立ち位置を 漱石ははっきりさせようとしていた。 自己省察力を頼みに 卓越した自省力をも抜きん出ていたように 思えてしまう。

更新日: 2020/03/02
a8fc3c7cb63dさんの感想

我輩は猫であるの金田には、漱石がこの講演で注意喚起している金や権力で全て片付けようとする輩のイメージが投影されていたんだね。

更新日: 2018/04/10
fe3c70ce7b93さんの感想

夏目漱石が、自分探ししていたときの心境などがつづられていました。 いま、くすぶっていて何か変化を求めている人が読んだら、ヒントや発見があるかもしれません。

更新日: 2017/12/12
253288386f60さんの感想

個人主義という呼称は漱石の言わんとすることの全てを表現しきれているとはとても思えない。 世の中の個人主義という言葉の意味を真剣に思索したことのない方は是非当書を一読し、個人主義の在り方について考察すると良いのではと思う。 そしてその後に、社会を見つめてみて欲しい。 漱石が生きた時代から百余年は優に過ぎている、私たちの暮らす社会を。

更新日: 2017/04/27
4798d837134cさんの感想

本題に入るまでが長く、少々退屈ですが非常に面白いです。 特に個性のくだり、 30半ば、ずっと自分の中でもやもやと燻っていたものが、単純明快、この上もなく的確に著されていて、言葉を操る人の凄みを感じました。 是非読んで欲しいです。

更新日: 2016/12/21
785158b2c797さんの感想

漱石先生はなんと正直で率直な方でしょう! 先生がこうした境地に達せられた経緯と、これから世にでる若者たちへ人生で大切なことは何かということを平易な言葉で述べた講演録です。安倍さんやトランプさんに読ませたい!無理でしょうけど。

更新日: 2016/04/21
a98a2cd23bf1さんの感想

演説を聴けた学生や教師たちは 爽やかな感慨を持っただろうなと 想像しました。 解りやすい言葉と いろんな例をあげて構成され 説得力が あります。 『権力、金力、権利と義務、個性の発展、本当の自由 』など 、改めて 深く 心に残りました。 夏目漱石さんは、正直で 控えめで(いい意味で) 義務感の強い方だと 感じました。 他人への思い遣りも つよい。

更新日: 2016/04/21
12e59c74de96さんの感想

100年経っても漱石の懸念は払拭されていない。いまの安部総理をはじめ自民党国会議員にはこれをあらためて読んで欲しい。

更新日: 2015/12/15
0e891017c650さんの感想

夏目漱石が自分の半生を振り返りつつ、留学時代に触れたイギリス流の個人主義を紹介している。現代に通ずる部分は多く、一読の価値あり。講演会の話を文章化したものなので、終始、平易な語り口調だ。堅くなる必要はない。珍しいから、ちょっと食べてみよう。そんな軽い気持ちで読んでみるといい。

更新日: 2015/11/26
a8da55ea928aさんの感想

100年前に書かれた作品ですが、現在もそのまま通じる内容です。

更新日: 2015/09/12
5d669367f4f7さんの感想

作者の「自分には何も本領がない」という悩みに非常に共感できたので、その後に続いた個性の発展が幸福に必要であること、そして他人個人の意見や行動を尊重すべきであることが私自身のこれまでの経験・立場・意見を伴って腑に落ちた。 先生の考えの一つ一つに納得できるとても面白い講義でした。もっと聴いていたかった。