短歌
たんか
初出:「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社、1981(昭和56)年12月25日分量:約1分
書き出し:少し、読みためたのを、人に見てもらう。母は、万葉調のが上手で、十一の時から詠《よ》んで居たから、流石に巧《うま》い。私のとは、まるで気持が違う。自分でよんで、自分でうっとりする様な歌は、どうしても、まだ未熟な私には、出て来て呉れない、それが口惜しい。どうにでもうまく一つやらねばならないと思うと、じいっと座って居られない様な気持になって来る。雑誌をよんだり、短歌集を引き出して見たりしても、どうしても...