雙喜 芥川の 義仲命(よしなかいのち)の 熱い思いが 伝わってくるかのようだ。著者が 十代の時に 書かれた ようだけど 省略の 美しさについて 作者は その頃には いまだ 気づいてない 気配が いささか 気になった。
長いし、芥川が博識過ぎて例えを引かれる度に迷子になるし、…ですが読む価値あります。義仲を題材にして語られる、芥川の憧れる「男らしさ」論。言いたいことを言い、したいことを為し、例え一生が短く終わっても、革命に生きた証を確かに残した義仲の、何にも気兼ねしない野生の生き様への憧れをビンビン感じます。食うために書いた文章ではない、芥川が書きたくて書いた若き日(中学5年、18歳:明治43年)の力の入った論考だけに、彼の本音が出ているように感じます。 源平騒乱の頃の知識がないときついですが、誰と誰が戦っている場面なのか、誰の話をしているのかを押さえていけばなんとか読みとおせる…はず。第三部の「最後」は泣かせます。
芥川がいかに木曽義仲が好きで頼朝が嫌いかわかった。義仲のような勇猛果敢で無鉄砲な戦の英雄は若くして死ぬけれどもだからこそ後世に伝わる逸話がある。死しても芭蕉や芥川時代の一戦級の人に好かれるものよ