時代閉塞の現状
じだいへいそくのげんじょう
(強権、純粋自然主義の最後および明日の考察)
(きょうけん、じゅんすいしぜんしゅぎのさいごおよびあすのこうさつ)分量:約26分
書き出し:一数日前本欄(東京朝日新聞の文芸欄)に出た「自己主張の思想としての自然主義」と題する魚住氏の論文は、今日における我々日本の青年の思索《しさく》的生活の半面——閑却《かんきゃく》されている半面を比較的|明瞭《めいりょう》に指摘した点において、注意に値《あたい》するものであった。けだし我々がいちがいに自然主義という名の下に呼んできたところの思潮には、最初からしていくたの矛盾《むじゅん》が雑然として混在...