藤村版『日の名残り』といったところか。ただ、『日の名残り』よりありそうな設定でそのせいか余韻が重い。
妹の友人と九年前にただ一度だけキスをしたのを思い焦がれているおじさんのお話。思いを告げられないことを知りながらも、妹の友人と伊豆へ遊びに行き、お金を出すことしかできない様がなんとももどかしい。お新ちゃんも所帯持ち故に山本さんの思いに気付いていながらも答えられずにどうしたらいいか分からないように見える。最後に自分の老いを嘆く山本さんの心情が大変切ない。
昔のキスひとつでこじらせた男のはなし。
ふ--ん