15歳にして訪れた遅い初潮による、身体が女として成長していくことへの怖れ、心境の変化など、思春期の少女の不安定な心理を父親の視点から叙述的に描いた作品。 作品は一人娘の袖子を中心に描いているが、初潮により「娘はもう父の人形ではないのだな」と痛感し、男ばかりの家庭で母も姉妹もいない男親の苦悩も描かれている。 モデルは藤村とその四女・柳子で、3人の姉はいずれも幼くして夭折し、藤村の妻・冬子も柳子出産の際に出血多量で亡くなっている。 (一方で3人の兄は全員が無事に成長している) 結婚平均年齢が現在よりもずっと低かった当時、「初潮は嫁入りの準備が出来た証」でもあったそうで、そうなると初潮が来たことの意味は現在よりさらに重かったことになる。