「聴雨」の感想
聴雨
ちょうう

織田作之助

分量:約32
書き出し:午後から少し風が出て来た。床の間の掛軸がコツンコツンと鳴る。襟首《えりくび》が急に寒い。雨戸を閉《し》めに立つと、池の面がやや鳥肌立つて、冬の雨であつた。火鉢に火をいれさせて、左の手をその上にかざし、右の方は懐手《ふところで》のまま、すこし反《そ》り身《み》になつてゐると、「火鉢にあたるやうな暢気《のんき》な対局やおまへん。」といふ詞《ことば》をふと私は想ひ出し、にはかに坂田三吉のことがなつかしく...
更新日: 2022/09/07
鍋焼きうどんさんの感想

将棋バカ一代坂田三吉の名勝負。確立された将棋のセオリーから逸脱して打った初手の九四歩が七日間の対局の間中坂田を苦しめる。勝つことよりも将棋に夢中になれるこの苦しみの時間を坂田は愛したのかもしれない。

更新日: 2020/11/07
19双之川喜41さんの感想

 無学文盲で  棋譜も 読むことができない 棋士というのは  今では 想像もできないような 存在であるけど  当時は 盛大に大衆の支持を得ていた。 坂田三吉は すでに伝説上の 存在であり  これから後には  絶対 に出ないような  棋士であるところに  値打ちがあるとは思う。