湖南の扇
こなんのおうぎ
初出:「中央公論 第四十一年第一号」1926(大正15)年1月1日分量:約26分
書き出し:広東《かんとん》に生れた孫逸仙等《そんいつせんら》を除けば、目ぼしい支那の革命家は、——黄興《こうこう》、蔡鍔《さいがく》、宋教仁《そうきょうじん》等はいずれも湖南《こなん》に生れている。これは勿論《もちろん》曾国藩《そうこくはん》や張之洞《ちょうしどう》の感化にもよったのであろう。しかしその感化を説明する為にはやはり湖南の民自身の負けぬ気の強いことも考えなければならぬ。僕は湖南へ旅行した時、偶然...