「人造人間殺害事件」の感想
人造人間殺害事件
ロボットさつがいじけん
初出:「新青年」博文館、1931(昭和6)年1月号

海野十三

分量:約26
書き出し:その早暁《そうぎょう》、まだ明けやらぬ上海《シャンハイ》の市街は、豆スープのように黄色く濁った濃霧の中に沈澱《ちんでん》していた。窓という窓の厚ぼったい板戸をしっかり下《おろ》した上に、隙間《すきま》隙間にはガーゼを詰めては置いたのだが、霧はどこからともなく流れこんできて廊下の曲り角の灯《あかり》が、夢のようにボンヤリ潤《うる》み、部屋のうちまで、上海の濃霧に特有な生臭《なまぐさ》い匂いが侵入して...
更新日: 2018/12/15
ハルチロさんの感想

戦前の国際都市であり、西洋、日本、中国の諜報の坩堝であった上海が舞台となっているところが、この作品のスリリングな面を増長している。この時代の“人造人間”とは如何に?と思い読みすすめると、意外な結末に当たる。だが、国際スパイの読み物と捉えれば、結構楽しめる作品です。

更新日: 2016/09/16
ひずみんさんの感想

おもしろかった! SFの短編として今でも残りつづいている理由がわかる。誰ひとりとして無駄な登場人物がおらず、ハイスピードで進む展開に読み進める手を止められない。