クサンチスは 飾り箱の中に住む ギリシャ生まれの 踊り子の人形である。いとも やすやすと 一線を 踏み外すので 他の人形から 大変 重宝されている。ある時 彼女の 信奉者である ファウヌスは クサンチスが 支邦人の人形の膝に 乗っているところを 見てしまい 嫉妬に狂って 木端微塵(こっぱみじんに)に 彼女を 壊してしまう。そのため かれは 箱から外に 売られてしまう。この騒ぎから 何かしらの 教訓を得ることが できるであろうか。私は この現実の世間も 箱の中の 閉鎖空間(へいさくうかん)と 似たようなものと 感じた。
すみれの花冠をつけた、美しい踊り子の人形「クサンチス」が、他の男の人形たちを魅了し、自由な愛情の生活にふけり、しまいには破滅してしまう話。 美しい公爵、陰鬱な音楽家の青年、がっしりした体格のファウヌス、そしてだらしなく腹のでた下品な支那人形…。 クサンチスの愛は相手の外見を選ぶことをしらない。 好色であり堕落的である。 クサンチスの堕落の結果、怒り狂ったファウヌスがクサンチスを一撃のもとに粉々にしてしまう。そして、他の男の人形たちも愛する相手を失い、それぞれ破滅してしまのだった。 一読するとクサンチスの好色が悪い?ともとれるような道徳小説のようですが作者は、そうではないと。クサンチスの堕落が悪いのだと言ってますね。それにしてもまるで人形劇を眼前に見るように楽しく読めました。