景色描写が凄い。モノクロの中から、ハッキリとした色の蜜柑。芥川作品でかなり好きです。
貧しい農村の風景が浮かんでくる。垢切れ小娘の投げるミカンに温かさと厳しさを感じる。
情景が目に浮かぶようで感動しました。娘さんに対する作者の心の変化に共感を覚えます。
灰色で紡がれてきた物語に登場する、みかんの鮮やかさ、温かさの対比が素晴らしいと思います。初めて芥川作品を読みましたが、流石だなと。
これが一番好きな作品です。 蜜柑の場面を読む度、語り手に憑依した気分にさせられます。語り手の感動をこれほどまでに身近にさせるのは流石だなぁと、読後に毎度思わされます。
テレビや映画で 蜜柑を窓から投げる場面が 数々使われており 制作者側にも 芥川の作品に目を通し ヒントを得た人が多いことが 伺われると思う。 文学者の感性が 長く伝わっていくことは 素晴らしい事だと感じた。
お願い致します
逗子の出身なので、横須賀線が出てくると嬉しくなる。車窓からの景色も車内の様子も今とは異なっているのは当然だが、これを読んだとき、情景がモノクロで浮かんできた。但し蜜柑だけは鮮明な色を呈していた。あたかも私がタイムスリップした同乗者であったかのように。
はじめて読んだときから一番好きな話。 放り投げられたみかんの情景の美しさがはっと胸をうちます。
目の前の突然の出来事に作者は感動する。いいはなしだ。そういえば横須賀線で横須賀駅過ぎるとわりとながいトンネルあったこと思い出します。
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芥川龍之介後期作品につながる作品。 蜜柑が投げ渡される描写の主語がばらばらで、芥川龍之介の歯車へのさきがけが垣間見える。
読後、心がじわっと温かくなります。色が鮮やかに感じられる作品は好きです。
憂鬱な気持ちが晴れる瞬間を切り抜いた作品。おだやかな蜜柑のオレンジ色と線路が目に浮かぶ。
こういう清いものが電車に押しこまれると、そう見える。
心が暖まる話。 病んでるときには刺々しくなってしまうけど、周りをみると意外と気が晴れるものだ。
ほんの一瞬の出来事が 生への倦怠を感じていた人の心に ぽっと温かい灯をともしてくれた。 姉と弟たちの姿が いとおしいです。
古い文学を敬遠するひともいると思いますが、生きたことのない時代の風景がまざまざ目の前に浮かぶくらいには圧巻の表現力でした。さすが。
色彩の美しさ。その時代を生きたことがないのに、まるで自分自身の記憶のように情景が目に浮かぶ。やっぱり、芥川さんの表現力は天才的。 梶井基次郎の「檸檬」と同じく、元気をなくしたとき読み返したくなる作品です。果物っていいよね。