青空文庫

「金春会の「隅田川」」の感想

金春会の「隅田川」

こんぱるかいの「すみだがわ」

初出:「女性」1924(大正13)年3月

創作背景文壇交友芸術家描写分析的回顧的

書き出し

僕は或早春の夜、富士見町の細川侯の舞台へ金春会の能を見に出かけた。と云ふよりも寧ろ桜間金太郎氏の「隅田川」を見に出かけたのである。僕の桟敷へ通つたのは「花筐」か何かの済んだ後、「隅田川」の始まらない前のことである。僕は如何なる芝居を見ても、土間桟敷に満ちた看客よりも面白い芝居に出会つたことはない。尤も僕の友達の書いた、新らしい芝居は例外である。さう云ふ芝居を見る時には、大抵看客などは忘れてしまふ。

1 / 0