さくらさくしま
春のかはたれ
はるのかはたれ
書き出し
暮れゆく春のかなしさは歌ふをきけや爪弾の「おもひきれとは死ねとの謎か死ぬりや野山の土となる」隅田川「春信」の女の髪をすべりたる黄楊の小櫛か月の影。「どうせ売られる身ぢやほどに静かに漕やれ勘太殿」人買秋の日は赤い蜻蛉のかはたれに塀の蔭から青頭巾。やれ人買ぢや、人買ぢや何処へ迯げようぞ、隠れようぞ。赤い蜻蛉が飛びまわる。御籤思ひあまりて御籤を引けばなんとせうぞの凶と出る。いつそ打明け話さうかひとりで泣…