さくらさくしま
見知らぬ世界
みしらぬせかい
書き出し
路青い野原のなかを、白い路がながく/\つヾいた。母とも姉とも乳母とも、いまはおぼえもない。おぶさつたその女が泣くので、私もさそはれてわけはしらずに、ほろ/\泣いてゐた。女の肩に頬をよせると、キモノの花模様が涙のなかに咲いたり蕾んだりした、白い花片が芝居の雪のやうに青い空へちら/\と光つては消えしました。黄楊のさし櫛がおちたのかと思つたら、それは三ヶ月だつた。黒髪のかげの根付の珠は、空へとんでいつて…