青空文庫

「お末の死」の感想

お末の死

おすえのし

初出:「白樺」1914(大正3)年1月

有島武郎45

書き出し

一お末はその頃誰から習ひ覚えたともなく、不景気と云ふ言葉を云ひ/\した。「何しろ不景気だから、兄さんも困つてるんだよ。おまけに四月から九月までにお葬式を四つも出したんだもの」お末は朋輩にこんな物の云ひ方をした。十四の小娘の云ひ草としては、小ましやくれて居るけれども、仮面に似た平べつたい、而して少し中のしやくれた顔を見ると、側で聞いて居る人は思はずほゝゑませられてしまつた。お末には不景気と云ふ言葉の

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