青空文庫

「フランセスの顔」の感想

フランセスの顔

フランセスのかお

初出:「新家庭 第一巻第一号」玄文社、1916(大正5)年3月1日

有島武郎31

書き出し

たけなわな秋のある一夜。光の綾を織り出した星々の地色は、底光りのする大空の紺青だった。その大空は地の果てから地の果てにまで広がっていた。淋しく枯れ渡った一叢の黄金色の玉蜀黍、細い蔓——その蔓はもう霜枯れていた——から奇蹟のように育ち上がった大きな真赤なパムプキン。最後の審判の喇叭でも待つように、ささやきもせず立ち連なった黄葉の林。それらの秋のシンボルを静かに乗せて暗に包ませた大地の色は、鈍色の黒ず

1 / 0