青空文庫

「めおと鎧」の感想

めおと鎧

めおとよろい

初出:「講談雑誌」博文館 、1943(昭和18)年1月号

書き出し

一香田孫兵衛が飛竜を斬ったのは、「犬」といういきものが嫌いだったからではない。どちらかといえばかれは犬は好きであった。世間にはよく犬とさえみれば無差別に呼びかけたり頭をなでたりする人がいるが、それ程ではないにしても、好きなほうではあった。しかし飛竜は、かれの好きな犬の部類にははいらなかった。あまりに大きすぎるし、眼つきがわるい。態度が傲慢だった。人を人とも思わぬつらつきで、——おまえたちの弱みはみ

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