ねんれいについて
初出:「小説新潮」1965(昭和40)年3月
書き出し
ちかごろ、批評家やまわりの友人たちが、しきりに私の年齢のことをあげつらう。私自身はとしのことなど考えたためしはない。およそ三十歳のころから、つねに十歳以上も老けてみえたらしく、特に女性たちはいつも、私の本当の年齢よりは十歳は多く「見当」をつけるのであった。数年まえのことだが、越前の山中温泉へ取材旅行にいったとき、優雅なる女性の一人が私のことを「七十三か四でしょう」と見当をつけた。次ぎに粟津でその話…