「矢押の樋」の感想
矢押の樋
やのしのとい
初出:「キング」大日本雄辯會講談社、1941(昭和16)年3月号

山本周五郎

分量:約39
書き出し:一「あれはなんだ、衣類のようではないか」外村重太夫《とのむらしげだゆう》は扇子で陽《ひ》を除けながら、立停って顎《あご》をしゃくった。城の内濠《うちぼり》の土堤《どて》の上に、衣服と大小がひと束《たば》ねにして置いてある、六月早朝の大場は、ぎらぎらと刺すような烈しい光を射かけているが、まだ四方《あたり》には人の姿も見えない刻限だった。「加兵衛《かへえ》、此処《ここ》へ持って来てみい」「はっ」供の者...