青空文庫

「津下四郎左衛門」の感想

津下四郎左衛門

つげしろうざえもん

初出:「中央公論」1915(大正4)年4月

鴎外69
創作背景歴史的人物の描写歴史的背景分析的厳粛回顧的

書き出し

津下四郎左衛門は私の父である。(私とは誰かと云ふことは下に見えてゐる。)しかし其名は只聞く人の耳に空虚なる固有名詞として響くのみであらう。それも無理は無い。世に何の貢献もせずに死んだ、艸木と同じく朽ちたと云はれても、私はさうでないと弁ずることが出来ない。かうは云ふものの、若し私がここに一言を附け加へたら、人が、「ああ、さうか」とだけは云つてくれるだらう。其一言はかうである。「津下四郎左衛門は横井平

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