青空文庫

「丹下左膳」の感想

丹下左膳

たんげさぜん

02 こけ猿の巻

02 こけざるのまき

初出:「丹下左膳」東京日日新聞、大阪毎日新聞、1933(昭和8)年6月7日~11月5日

不忘651

書き出し

伊賀の暴れん坊一さっきの雷鳴で、雨は、カラッと霽れた。往来の水たまりに、星がうつっている。いつもなら、爪紅さした品川女郎衆の、素あしなまめかしいよい闇だけれど。今宵は。問屋場の油障子に、ぱっとあかるく灯がはえて、右往左往する人かげ。ものものしい宿場役人の提灯がズラリとならび、「よしっ!ただの場合ではない。いいかげんに通してやるゆえ、行けっ!」「おいコラア!その振分はあらためんでもよい。さっさと失せ

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