青空文庫

「執達吏」の感想

執達吏

しったつり

与謝野19
作家の日常家族不和文壇交友貧困回顧的憂鬱

書き出し

(壱)眞田保雄の事を此の十年来何かに附けて新聞雑誌で悪く書く。保雄は是と云つて私行上に欠点のある男でも無く、さりとて文学者としての彼の位置が然う文壇の憎悪を買ふ程に高くも無い。其の癖新体詩家である保雄は不断相応に後進の韻文作家を引立てゝ、会を組織する、雑誌を発行する、其等の事に金銭と労力を費して居る事は一通で無い。彼が高利貸に七八千円の債務を負うて此の八九年間首の廻らぬのも全く後進の為に柄に無い侠

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