青空文庫

「春の槍から帰って」の感想

春の槍から帰って

はるのやりからかえって

旅の情景自然と人間の冥通農村の生活厳粛叙情的静謐

書き出し

白馬、常念、蝶の真白い山々を背負った穂高村にも春が一ぱいにやってきた。あんずの花が目覚めるように咲いた百姓屋の背景に、白馬岳の姿が薄雲の中に、高くそびえて、雪が日に輝いて谷の陰影が胸のすくほど気持ちよく拝める。乾いた田圃には、鶏の一群が餌をあさっている。水車の音と籾をひく臼の音が春の空気に閉ざされて、平和な気分がいたるところに漲っていた。一歩を踏み出して烏川の谷に入ると、もう雪が出てくる。しかし岩

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