青空文庫

「思想としての文学」の感想

思想としての文学

しそうとしてのぶんがく

初出:「思想としての文学」三笠書房、1936(昭和11)年2月

戸坂525

書き出し

序文学という言葉を文献学という意味に使い、所謂文学の代りに文芸という言葉を使え、という意見もあるが、私はにわかに賛成出来ない。文学は単なる文芸でもなく又文献学でもなしに、ある他のもっと大事なものを指していると私は考える。世間で文学と呼び慣らわしているものをよく見ると、必ずしも芸術の一様式である文芸のことばかりを意味しているのではない。文芸を浸潤し、更に広く他様式の芸術的表現全般を貫徹し、それだけで

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