青空文庫

「落合町山川記」の感想

落合町山川記

おちあいまちさんせんき

初出:「改造 昭和8年9月号」1933(昭和8)年9月1日

芙美子26

書き出し

遠き古里の山川を思ひ出す心地するなり私は、和田堀の妙法寺の森の中の家から、堰のある落合川のそばの三輪の家に引越しをして来た時、はたきをつかいながら、此様なうたを思わずくちずさんだものであった。この堰の見える落合の窪地に越して来たのは、尾崎翠さんという非常にいい小説を書く女友達が、「ずっと前、私の居た家が空いているから来ませんか」と此様に誘ってくれた事に原因していた。前の、妙法寺のように荒れ果てた感

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