青空文庫

「日輪」の感想

日輪

にちりん

初出:「新小説」1923(大正12)年5月号

横光利一139

書き出し

序章乙女たちの一団は水甕を頭に載せて、小丘の中腹にある泉の傍から、唄いながら合歓木の林の中に隠れて行った。後の泉を包んだ岩の上には、まだ凋れぬ太藺の花が、水甕の破片とともに踏みにじられて残っていた。そうして西に傾きかかった太陽は、この小丘の裾遠く拡った有明の入江の上に、長く曲折しつつ※か水平線の両端に消え入る白い砂丘の上に今は力なくその光を投げていた。乙女たちの合唱は華やかな酒楽の歌に変って来た。

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