青空文庫

「氷河」の感想

氷河

ひょうが

初出:1928(昭和3)年11月

黒島伝治53

書き出し

一市街の南端の崖の下に、黒龍江が遥かに凍結していた。馬に曳かれた橇が、遠くから河の上を軽く辷って来る。兵営から病院へ、凍った丘の道を栗本は辷らないように用心しい/\登ってきた。負傷した同年兵たちの傷口は、彼が見るたびによくなっていた。まもなく、病院列車で後送になり、内地へ帰ってしまうだろう。——病院の下の木造家屋の中から、休職大佐の娘の腕をとって、五体の大きいメリケン兵が、扉を押しのけて歩きだした

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