青空文庫

「河童小僧」の感想

河童小僧

かっぱこぞう

初出:「文藝倶楽部」1902(明治35)年5月号

書き出し

頃は安政の末、内藤家(延岡藩)の江戸邸に福島金吾という武士があった、この男、剣術柔術が得意で、随って気象も逞しい人物で、凡そ世の中に怖い物無しと誇っていたが、或時測らず一種の妖怪に出逢って、なるほど世には不思議もあるものだと流石に舌を巻いたと云う。即ち五月の初旬、所謂る降りみ降らずみ五月雨の晴間なき夕、所用あって赤阪辺まで出向き、その帰途に葵阪へ差掛ると、生憎に雨は烈しくなった。当時の人は御存知あ

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