青空文庫

「紅毛傾城」の感想

紅毛傾城

こうもうけいせい

初出:「新青年」1935(昭和10)年10月号

書き出し

序ベーリング黄金郷の所在を知ることならびに千島ラショワ島の海賊砦のこと四月このかた、薬餌から離れられず、そうでなくてさえも、夏には人一倍弱いのであるが、この夏私は、暑気が募るにしたがって、折りふし奇怪な感覚に悩まされることが多くなった。ちょうどそれは、私の心臓のなかで、脈打ちの律動が絶えず変化していくように、波打つ暑気の峰と谷とだ。はっきりと、しかも不気味にも知覚されるのであった。しかし、そうした

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