青空文庫

「政治に関する随想」の感想

政治に関する随想

せいじにかんするずいそう

初出:「キネマ旬報 再建第三号」1946(昭和21)年6月1日

伊丹万作14

書き出し

私は生れてからこのかた、まだ一度も国民として選挙権を行使したことがない。私はそれを自慢するのではない。むしろ一つの怠慢だと思つている。しかし、ここに私が怠慢というのは、私が国民としての義務を怠つたという理由からではなく、たんに芸術家として、与えられた観察の機会をむだにしたという理由からである。すなわち、いまだかつて投票場に近寄つたこともない私は、投票場というものがどんな様子のものかまつたく知らない

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