青空文庫

「一家」の感想

一家

いっか

初出:「東亞の光」1907(明治40)年12月号

若山牧水21

書き出し

--友人と共に夕食後の散歩から歸つて來たのは丁度七時前であつた。夏の初めにありがちのいやに蒸し暑い風の無い重々しい氣の耐へがたいまで身に迫つて來る日で、室に入つて洋燈を點けるのも懶いので、暫くは戲談口などきき合ひながら、黄昏の微光の漂つて居る室の中に、長々と寢轉んでゐた。しばらくして友が先づ起き上つて灯を點けた。その明るさが室の内を照らし出すと、幾分頭腦も明瞭したやうで先刻途中で買つて來た菓子の袋

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