青空文庫

「姉妹」の感想

姉妹

しまい

初出:「新聲」1907(明治40)年12月号

若山牧水29

書き出し

山には別しても秋の來るのが早い。もう八月の暮がたからは、夏の名殘の露草に混つて薄だとか女郎花だとかいふ草花が白々した露の中に匂ひそめた。大氣は澄んで、蒼い空を限つて立ち並んで居る峯々の頂上などまでどつしりと重みついて來たやうに見ゆる。漸々紅らみそめた木の實を搜るいろ/\の鳥の聲は一朝ごとに冴えまさつた。お盆だ/\と騷がれて、この山脈の所々に散在して居る小さな村々などではお正月と共に年に二度しかない

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