青空文庫

「マルクス主義と唯物論」の感想

マルクス主義と唯物論

マルクスしゅぎとゆいぶつろん

初出:「思想」1927(昭和2)年8月号

三木54

書き出し

一言葉は魔術的なはたらきをする。或る人々にとっては、唯物論の名は、すでに最初から何かいかがわしいもの、汚らわしいものを暗示する。彼らはその名を聞くとき、肩をゆすぶり、十字を切って去り、それを真面目に相手にすることをさえ、何か為すまじき卑しきことであると考える。それにもかかわらず自己の唯物論として憚るところなく主張するマルクス主義は、もはや誰も見逃すことの出来ぬ現実の勢力である。一般に現実を回避する

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